Back to Top Last Updated:24 May, 1999
Matsuyama Cricket Club
What's cricket
世界のクリケット
クリケットはイングランドの国技であり、冬のフットボールと人気を二分する、夏の代表的スポーツです。春から初秋にかけてのシーズンには各種大会や各地でのプロのツアーが盛んに行われていますし、休日の郊外の広場では草クリケット一色に塗りつぶされるくらい国民の間に深く浸透しています。世界的にはオーストラリアやニュージーランド、インド、西インド諸島をはじめ英連邦諸国を中心に栄え、熱狂的なファンに支えられながら国レベルの交流試合も毎年のように実施されています。特にテストマッチは最高の試合となり、イングランド対オーストラリアはすでに100年以上の伝統があります。また、4年に一度約20カ国参加のワールドカップも開かれています。
ラグビーやサッカーなどイギリスを母なる国とする近代スポーツは数多くありますが、その中でもクリケットは1774年には統一規則ができるなど近代的な形を整えたものが最も早く、その後フットボールなどが都市で禁じられていた間も、郊外のスポーツとして逆に奨励されていたくらいであり、プロチームもすでに1846年には誕生し、大衆の人気をさらに高めるようになっていきました。そして1859年のオール・イングランドのカナダ、アメリカ遠征に始まる外国との交流も盛んになり、名実ともに近代スポーツの幹として定着していきました。  

なお、1787年に設立されたMarylebone Cricket Clubが、現在までの世界のクリケットを統率しています。

日本のクリケット
日本でも明治維新前後にはイギリス海軍の手によってクリケットが上陸しました。明治の中ごろまで開成学校などの上級学校で行われた形跡がみられますが、結局、一部在留外国人の間で続けられてきた以外に日本人の間には普及することはなかったので”幻のスポーツ”となっていきました。1977年春ころから神戸在住の有志によるクリケットの研究が行われはじめ、1980年4月には日本で初めてともいえる日本人メンバーによって構成されたクリケットクラブが神戸市外国語大学に誕生、現在も活動を続けています。また、同大学では正課の体育実技にもクリケットを取り入れています。
クリケットの魅力
日本では、「クリケットは野球のルーツである?」という俗説(野球とはまったく逆の理論でゲームが行われる?!)と、進んで多くのイギリススポーツを取り入れた日本において見向きもされなかったことから、「クリケットは何か貴族の好むような古典的なものであり、よく似た野球に比べ悠長でつまらないスポーツであろう」とおもわれてしまってはいないだろうか。しかしながら実際にプレイしてみるとそんなことはないことがわかるだろう。
クリケットは基本が簡潔であって覚えやすく、しかもスピーディでエイサイティング。そしてフェアプレイを尊重するようにプレイヤーの全人格的能力が尊重されているところがよい。

また、誰でも初心者のときからレベルに合わせたゲームを楽しむことができるとともに、慣れるに従って、多様な技術のおもしろさや個々に作戦を考えるのが楽しくなり、とても奥の深いスポーツだということがわかってきます。   

さらに、「クリケット」の一語で”フェア・プレイ”や”グッド・スポーツマンシップ”を表すように、プレイそのものが、姑息な手段をとれないようになっているし、ゲーム全体としてもあくせくしていないことなどから、スポーツ本来の楽しみ方を示してくれているようでとても興味深い。「It's not Cricket」といえば、日本語で「公平でない」という意味になります。

野球はクリケットをヒントにしたようなものであるから一見よく似ています。投げて打って走ってという点が共通しています。しかし、実際には違いが多すぎ異質のスポーツです。野球に慣れ切っているわれわれ日本人にとってクリケットをやり始めると、きっととまどいの連続に違いありません。でも発想の転換をし、白紙の状態で臨んでみると、すぐにそのおもしろさがわかってもらえると思います。

クリケットはまた、基本が簡潔であるだけにバリエーションを考え出す余地がたくさんあります。広い場所でも狭い場所でも、大人数でも小人数でも老人でも少年でも、男でも女でも状況に合わせてゲームの形式を考えることが可能です。用具についてもいろんなものを代用することができるなど発展性のあるスポーツですから、教材などに採用するのに適切ではないかと思われます。

競技展開
さて、競技の展開ですが、競技は2チーム、各11名のメンバーによって行われます。まず、硬貨のトスで攻撃か守備かを決めます。フィールドの中央にはピッチがあり、ここに20m余りの距離を隔てて2組のウィケット(3柱門)が立っています。このウィケットのエリアは、野球でいえば、ベースとピッチャーズ・マウンド、バッターズ・ボックスとを兼ねていると考えればよいでしょう。  

守備側には、ピッチにボウラー(投手)とウィケット・キーパー(捕手)を送り、他の9名はピッチを取り巻くようにして守備位置につきます。

攻撃側は、ピッチ内に2名のバッツマン(打者)を送り込みます。一人はストライカー(第1打者)、もう一人はノンストライカー(第2打者、塁走者も兼ねている)です。ストライカーはボウラーの位置と反対側のウィケットの前に立ち、投球を待ちます。ウィケット・キーパーは、ウィケットの後ろで投球に備えます。   

ボウラーは投球によって、ウィケットの上に置かれたベイル(横木)を打ち落とせば、ストライカーを直ちにアウトにできます。ストライカーはベイルを打ち落とされないように、バットでウィケット全体を守ることが第一要件となります。クリケットの場合、フェアとかファウルの概念はなく、打者の周囲360度どこへでも打っても構いません。打撃側のストライカーは、ボウラー側のウィケットに向かって走ると同時に、ノンストライカーが打撃した側のウィケットに向かって走ります。2人がたがいにウィケットの前に書かれてあるポッピング・クリース(打者線)にタッチするか超えるかすると、1点が得られます。もし、大ライナーや猛烈なゴロなどを打って、ボールが遠くへ転々とした場合など、2人の打者はその間何度でもウィケットを折り返
し、得点を重ねることができます。

けれども、打者がポッピング・クリースに達する前に、ボールが返球されてウィケットにあたりベールが落ちると、そのウィケットに向って走っていた打者はアウトとなります。

ただし、クリケットの特徴として、ウィケットを守るためにバッティングをする必要があるため、バッティングのあと打球の勢いを見て、これは走ってもアウトになりそうだと判断した時には、あえて走らなくてもよく、次の投球を待てばよいことになっています。

フライをキャッチされると打者はアウト。その他数種類のアウトの方法があります。打者のアウトの後は、控えにいる次の打者が打席に入ります。10アウトになるとチェンジ。一般に1イニングスまたは2イニングスで試合が行われます。

伝統的な大きな試合(例:テスト・マッチ)などは最大5日間かかりますが、最近は時間のスピードアップが望まれ、その時の状況にあわせて投球数を制限したリミテッド・オーバー・ゲームが行われることが多くなってきました。例えば20オーバー(1オーバー6球で120投球)・ゲームだと、1チームの打撃が1時間程度で済むこともあります。

クリケット用語
ウィケット wicket 

直接には、ゲームで最も重要な三門柱のことをいう。また、チームのアウト数のことや、ピッチのコンディション、投球バウンド地点をさしたりもする。 

ウィケット・キーパー wicket keeper 

捕手のこと。単に投手からの投球を捕らえるだけでなく相手のウィケットを倒す要となる。 

エンド end 

ウィケットの立っている側を示す。ストライカーズエンドとボウラーズエンドがある。 

オーバー over 

投球単位を示す。一般的には6投球で1オーバー。1オーバーごとにボウラーが交代する。オーストラリア、ニュージーランドでは8投球で1オーバーとすることもある。 

クリケット cricket 

語源は定かではないが、フランダース語で「棒切れ」という意味のkrick(e)からか、あるいはアングロサクソン語の「支柱」という意味のcricc-cryccから出ているのではないかといわれている。ちなみに「コオロギ」の意味もある。 

サイト・スクリーン sight screen 

ボウラーからのボウリングがバッツマンにとってよく見えるように設置された白色のスクリーン。競技場の両端にある。ちなみにボールは白球ではない。濃いエンジ色。 

サイド side 

チームのことをいう。打撃側をバッティング・サイド、守備側をフィールディング・サイドという。 また、別に競技場の地帯を表す。右打者なら、ボウラーに正対してピッチを境に、左側をオンサイド(on-side)右側をオフサイド(off-side)、左打者ならその反対を指す。エンドとよく間違えるので注意。 

スタンプ stump 

ウィケットを構成する細長い円柱のことで、頂上にはベイルを載せる溝がある。3本のスタンプのうち、中央にあるものをミドル・スタンプ(middle stump)、打者側にあるものをレッグ・スタンプ(leg stump)、その反対側にあるものをオフ・スタンプ(off stump)という。 

バウンダリー boundary 

競技場の範囲を決める境界線のこと。このラインを打球がノーバウンドで超えると6、また、バウンドして到達すると4点を得ることができる。 

バッツマン batsman 

打者のことであるが、インフィールドにいる2名のうち、打撃当事者をストライカー(striker)、もう1名をノンストライカー(non-striker)という。 

ピッチ pitch 

競技場の中央に位置し、投球や打撃の行われる最も重要な場所である。野球でいえばダイヤモンドに当たる。 

フィールズ・マン fields man 

野手のこと。ボウラーとウィケットキーパー以外の9人を指す。 

ベイル bail 

ウィケットを構成する横木のことで、スタンプの溝に載せられている。これは左右2本に分かれており、ボールが当たると落ちるようになっている。 

ボウラー bowler 

投手のこと。 

ボウリング・クリース bowling crease 

投球線のことで、ウィケットの位置も示す。 

ポッピング・クリース popping crease 

打者線のことで、バッツマンの位置目標となったり得点のために走るときの安全地帯境界線ともいえる。

ラン run 

得点するために走る試みをいうが、得点そのものも指す。 

リターン・クリース return crease 

このリターン・クリースと、ポッピング・クリース、ボウリング・クリースの3線に囲まれた範囲が投球ボックスとでもいえる。 

参考文献:浅見俊雄他編「現代体育・スポーツ体系」講談社、1984年の第23巻より
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